迷い
2008.06.27
唯一の、明快な答えがあるわけではない絵画の世界。今正に自分が制作している作品に、「正解」の強い実感、手応えを感じながら取り組める、というのはそうそうあることではない。迷いの連続である。「迷い」というのは、基本、辛いことではあるが、考えてみれば、人間が自由な存在だから「迷い」も生じるわけで。人間として明るく元気に前向きに創造的に生きていこうとすることは、つまり明るく元気に前向きに創造的に「迷い」と付き合っていこうということ。そう考えると「迷い」とつきあっていくのもなかなか良いものである。
きっと世界のどこかに「正解」があるはず、それを手に入れれば私はこの迷いから解放される。そんな気持ちになることもある。しかし、どこかに正解があるという気持ちは、裏を返せば今私のところに正解はないのだ、私の目の前のものは正解ではないのだ、と感じていることであり、つまりは眼の前の現実をしっかり視よう、聴こう、感じよう、とする気持ちが薄らいでしまうことがある。作品制作にとって一番まずいことだと思う。
絵画制作で大切なのは、正に自分の中から出てきた造形を、しっかりと見据え、しっかりと感じること。今、此処で、私に起こっているこの現実を受け入れる開かれた心から全てが生まれ、育まれていくもの。それが作品である。どこにも正解は記されていない。あなたが描くべき作品についてのレシピなどどこにもない。「迷い」はついて回るのである。私は思う。「迷い」がついて回ってくるような事柄に携わっていることを誇りに思うべきである。単なる余暇の過ごし方ではない、人間が成長する場としての絵画制作。
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