絵画制作における即興性7
2008.06.20
何気なく歌を歌う。別に特別な想いがあって歌い始めたわけではないのに、歌っているうちに某かの心境になってくる。想いが生じてくる。そんな経験は誰でもあるのではないだろうか。歌には音楽にはそういう力があるのである。
ある視方をすれば音は音楽を作るための「材料」に過ぎない。楽器は音楽を作るための「道具」に過ぎない。人間の、「こんな音楽を作りたい」という想いを実現するための手段に過ぎない、と。間違いではない。しかし別の視方をすれば、音そのものが、楽器そのものが人間の精神に働きかける力を持っている。人間はそれに触発されながら、その助けをかりながら音楽を作っている。単なる手段ではなく、創作のパートナーと言える。
絵画においても同じである。カタチや色、構成はそれ自体が表現力を持っている。その表現力を十全に自身の表現に活かせる力。造形が、そういうものであると感じる力、信じる力。 信じることは容易いことではない。視ること、現すこと、その経験を多く積むなかで育まれるもの。