「関係」を制する者が表現を制する 3
2010.03.26
さて、その次は何に配慮したら良いと思うでしょうか。エキストラを忘れてはいけません。見る側からするとエキストラの存在というのは、ストーリーにも関係なく、ほとんど気にならないものかと思います。しかしいてもいなくても良いかというと、いなければ不自然です。ただいれば良いのかというとそうでもなく、やはりそれなりにその場の雰囲気を作る重要な要素でもあります。
エキストラをおざなりにするようでは良い作品にはなりません。
かと言ってエキストラが必要以上の存在感や自己主張を持ってもいけません。「ニュートラル」な存在。色彩に例えるなら(いろいろと例えることはできますが)グレイッシュな色をイメージしてみてください。グレイッシュな色彩はそれ自体強く主張することはありませんが、作品の表情に大きな影響を与えます。例えば赤と緑2色のみの構成はとてもキツい印象となりますが、中間に灰色を入れてやると対立感が弱まり、穏やかさが加わってきます。この灰色の量、また灰色の明度、またデリケートな色みの違いを工夫することで、赤と緑は同じでも、全く印象の異なる表情を演出できます。
話を整理してみましょう。「関係」を操作する。関係には、「対立する関係」と「同調する関係」そして「ニュートラル」と、概ね3つの関係があります。自分が今やろうとしていることは作品の主張に対してどの関係として位置づけられることなのか、それを意識することはとても大切です。またそれらの分量や組み合わせによる目立ち具合をコントーロールすることで、視る者の気持ちを自分の意図に誘導する。
表現の要は「関係」。関係を制する者が表現を制する、大袈裟な言い方にも思いますが、あながち間違いではありません。先にも述べたように人間を「対象」そのものについて判断しているようでいながら、実は「関係の中での対象」というものに注目しているということを常に意識してください。
ここでは主に色彩について述べましたが、色彩に限らず、カタチ、質感といったものは個性を持っています。その太さが、鋭角さが、その滑らかさが、その大きさが、その小ささが、その傾きが具合が…等々すべてがその造形のキャラクターなのです。キャラクター同士がどのような関係の中でどのような役割を演じるか、それをしっかりと意識して表現に臨んでください。